安倍晋三の「書いて消せるマグネットシート」について

安倍晋三の「書いて消せるマグネットシート」はかなり批評的に見て興味深い。安倍晋三のサイバーパンク性というか、ソフトウェア性を如実に表している。政治家がこういう「書いて消せる」アイテムにこういう形態(吹き出しまでついてる!)でエンチャントされることって一般的だったのだろうか?でなければ考えた人は天才だと思う。まるで安倍晋三が「仕事頑張って!」と囁いてくれるゲームに埋め込まれているようである。とてもディストピア的な風景だが、普通のADVと違うためになおさら興味深い点は、ユーザー自身にその「仕事頑張って!」といったメッセージを書かせること。【念の為:決してADVを馬鹿にしているわけではない。ADVは特に素晴らしい文化領域である。その純文学性、ラノベ性、ゲーム性の三者融合の功績は計り知れないものがある。】

「書いて消せる」というのはそんなに新しいメディアではないとは思うが、とはいえコンピューターインタラクションの原点に「書いて消せる」インターフェースがあったこともまた事実。(参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Storage_tube

そういえば、ネットフリックスのブラックミラーでそういう話があったな…。キャラクターが党首になる話とも近いかもしれない。

現実にこういった現象が起きている以上、もはや政治家が普遍的なマスコットキャラクターのようになり分裂複製され遍在し、Siriのようにそれぞれの悩みを聞いてくれるソフトウェアと化す未来、といったディストピアをファンタジーと見て単に消費することはできないだろう。

ここでの「エンチャント」の意味(?)→https://minecraft.fandom.com/wiki/Enchanting

思えばマイクラのエンチャントも「書いて消せる」系機能のうちの一つであった。それは例えばCivilizationで言うところのCivilization AbilityやUnique Infrastructureといったシステム的憧憬が集束する点であると同時に、プレイヤーが自ら思いついたなにがしかのメッセージを書き記すことのできる機能でもある。政治家が、ゲーム内のアイテムのように何かステータス値のようなもの(則ち、システム的憧憬)を持つ日が来るのだろうか?それが自己の悩みを投影し、そして答えてくれるソフトウェアにも化ける。この二つが組み合わさると、例えばなにか悪いことがあった時に、〇〇に強い(神・仏)はこれだから、この(神・仏)に祈ろう、あるいはそれに関連する呪文や呪符を使おう、といった多神教的様相が見える。ただシステム的憧憬という点で重要なことは、その「〇〇に強い」といったそれぞれの属性が、ゲーム内でのパラメーターのようにして、アルゴリズム的に計算され適用されるご利益として働く点であろう。

しまった。2018年にこの話を知っていれば、ディストピア短編小説の授業課題はこのネタでいけたな…まああれはあれで面白い作品ではあったが….いやまあでも「しまった」とか言って茶化してはいけないのである。本当に今目前に迫り来ている現実的状況なのだから。

参考:http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/1031.html

M先生には足元も及ばないが少し長めの文章を書いてみた。もう少し文脈を補えば5000字になるか?この文脈を補うのがめんどくさいんだよね…まあでも10年後には何について考えていたかすら不明瞭になる時代が来るのでやるべきことではあるんだけど…