シリコンバレーのテック企業がここまで大きくなれた理由は、無法地帯だからである。技術によって新たに開拓された領域では、当然法規制もなければ、「何をやってはいけないか」という人々のコンセンサスも全くできていない。さらには、その開拓された領域における「個人とは何か」という定義も、はっきりされていないのである。そのため、その領域には人権という概念がなく、テック企業は(その新たに拡張された領域に限って)奴隷貿易でもなんでもできてしまうのである。
確かにWinny事件、Coinhive事件、Librehack事件、Wizard Bible事件などを見れば、新しいテクノロジーであることを理由に罪が問われるという風潮が(特に日本において)あるのは確かであり、それは良くないと思う。
しかしながら一方で、わたしたちは「イノベーション」の危険性を認識する必要があるとも思う。それはまず、(1)全人類の「人間」の領域を一部の技術者が勝手に同意なく拡張した上で、(2)新しく作った領域の割合を元々あった領域と比べて圧倒的に大きくすることで、(3)元々の領域を希薄化し、(4)その上で新しく作った領域において法規制やコンセンサス・「人権」の概念ができていないことを悪用し、(5)今まで禁止されてきた奴隷制度等を復活させてしまうという危険性である。
そして先述のような、新しいテクノロジーを「よくわからないもの」として社会から排斥する試みは、前述のような隷従化を加速させるだけに終わるだろう。なぜならそのような排斥は人々の技術へのアクセスを制限し、より少数の人々が技術開発に携わり、その仕組みを理解できるということにつながってしまうからだ。
…な〜んかだれかの意見をパクったような感じの文章になってしまった…なかなか自分の意見がオリジナルなものなのかどうかって、簡単にはわからないよね…まあアーレントに近いかもしれない???