Opus Magnumなどzachtronicsのゲームよりも、やっぱりbaba is youの方が格上かもしれない…
どちらもプログラミングを体験するゲームではあるが、zachtronicsの場合はなんというか、天才が考えれば気持ちいいというか、洗練されているというか、エクスタシーを感じる解法ができるのかもしれないが、凡人の頭脳ではありきたりで冗長な解法しか出てこないのがなんというかもどかしさを感じるというか、こだわり屋としてはいつまでも同じステージにこだわって先に進めない現象が出てくる。いやそれはそれでゲーム性というか競技性ということで良い点なのかもしれないが、Babaはそういった競技性をある種超越している部分がある。つまり、baba is youの方が数学的、もっと言えば圏論的なのである。baba is youでは、使うことができるパズルのピースが限られていて、自由度が少ないために、誰が考えても洗練された、「これで完全だ」と思える解法が出てくる。(もちろん、もっと深く考えればまた別の解法があるのかもしれないが、ひとまず100%の過不足・冗長な部分がないと思える解法にはなる)
数学というのはプログラミングと似ているが、プログラミングのようにある程度の空間・時間的制約の中で自由に組み立てることができるような物ではなく、極限的に厳しい制約条件の中でどういった道筋が立てられるか、ということが本質的な部分としてあると思う。もちろんプログラミングも競技性を持てばそのようになるのだが、如何せん凡人ではその高みに到達するのはなかなか難しい。Baba is Youは、まさに圏論用語と一般的な用法のダブルミーニングとして、「自然と」完璧な解法に辿り着くことができるようになっている。すなわち、プレイヤーが、数学という概念そのものと一体になる体験が(比較的)簡単に味わえるのだ。もう少し別の次元の話としては、zachtronicsは(ストーリーはさておき?ゲームのシステムとしては)単にプログラムを組むだけだが、Babaではプレイヤー自身がプログラムの中の一要素(You)となって、そこに介入する体験ができる。
とはいえどっちが上という話でもないか。baba is youの方が断然気持ちよさは味わえると思うが、zachtronicsの方が自由度は高いし…それに、baba is youの持つ一番大きな問題は、ゲームのルールが一切説明されないため、結局、試行錯誤の末にあるステージをクリアすることができても、それは前もって把握しているルールを組み合わせて解いたのではなく、そもそもルールを誤解していたというケースが多いことだ。「えっ、そんな仕様あったの!?」という事態が多発する問題点がある。事前に全てのルールが知らされていると、単にパズルの問題を解くだけになってしまう。やはり探索・探検の要素があるのがBaba is Youの強みであり、それはzachtronicsのゲームの強みでもある。つまり、ルールを開示するがそのルールを使う空間を広げることで探索性を持たせるのか(zachtronics)、空間を制約するがその代わりルールを開示しないことで探索性を持たせるのか(Baba)、というトレードオフ的な関係性が見てとれる。現実のプログラミングは、多くのシナリオにおいて、Baba is You、Zachtronics、Human Resource Machineほど空間が制約されることは無いし、謎仕様に出くわすこともかなり高頻度にある。両方の意味で探検する必要があるので大変だ。